2024年4月の休診日:4月7日(日)・14日(日)・21日(日)・28日(日)が定期休診日となります。

症例ブログ《からだ研究所》

膝の痛み 変形性関節症(へんけいせいかんせつしょう)

膝の痛み「変形性関節症」

「変形性関節症」とは?

「変形性関節症(へんけいせいかんせつしょう)」は「関節炎(かんせつえん)」の一種です。歳を重ねてくると、長年体重をささえてきた膝の軟骨は、すりへって薄くなったり、表面がでこぼこになってきたりすることがあります。すると関節のすべりが悪くなり、何かのきっかけで炎症を起こしてしまいます。こうして膝は腫れたり、痛くなったり、水が溜まったりするのです。したがって、膝に水が溜まっているのは、関節炎を起こしている証拠とみていいでしょう。

この膝に溜まる水は、関節液といい、健康な状態では膝の潤滑油になると同時に、軟骨に栄養分を補給する役割も果たしています。しかし関節炎になってしまうと、関節液は濁って潤滑油の役割を果たさなくなります。また、濁った関節液は栄養分も少ないため、軟骨の新陳代謝が悪くなり、こうしてますます軟骨の変性や老化が進んでいくことになります。

昔は老化現象だからと諦めて、溜まった水を抜くだけの治療(対症療法)がおこなわれていました。しかし炎症が治らなければ、また水が溜まります。そのために「水を抜くと癖になる」という迷信まで生まれたようです。

現代の治療法では、まず炎症を治して痛みをとることを優先と考えます。急性期の場合はアイシングが効果的で、プロ野球のピッチャーが投球直後に肩をアイシングするのはそのためです。急性期をすぎたら血流をよくするため、逆に温熱療法をおこないます。

ちなみに同じような症状の病気に「関節リウマチ」がありますが、これは原因も治療法も異なる別の病気です。

「膝が痛くて立ち仕事がきつい…」60代女性の場合

これはスーパーのレジで長年のあいだ立ち仕事を続けているうちに、膝の痛みを抱えるようになった60代女性の症例です。あるとき、膝を曲げようとしたら圧迫感があって曲げられないことがあり、次第に階段の昇り降りも困難になってきて、このたび来院されたとのことです。

初診のとき、膝の関節は腫れが目立ち、パンパンでした。膝蓋骨(しつがいこつ、膝のお皿)を押すと、「膝関節水症(ひざかんせつすいしょう)」いわゆる『ゼリーに触れるような波動』を感じます。

この患者様には関節の噛み合わせを整える(軸を合わせる)、整復(せいふく)治療をお勧めしました。他院では温めて湿布をしておわり、というところもありますが、当院ではこうして関節炎の原因を根本から治すようにしています。初日の治療後には歩行の痛みが楽になり「足が上がりやすくなりました」と喜んで帰宅されました。

整復治療によって膝の可動範囲が広がりましたので、2回目以降の治療では、つま先と膝を進行方向にむけて動かす歩行訓練をしました。これは正しい膝の動かし方を身につけることの他に、筋肉のバランスを整える目的もあります。

10回目の治療が終わる頃には、階段を降りるときでも痛みなく片足に体重をかけられるようになりました。立ち仕事も問題なくできるようになったようです。最後に自宅でできるストレッチや筋トレを指導して、卒業となりました。

膝の痛みが出ない身体づくりが大切

このように炎症が落ち着くことで、関節に溜まった水はふたたび身体に吸収され、正常な潤滑油に戻るのです。

今回は60代女性の症例を紹介しましたが、年齢に関係なく、一時的でも使いすぎれば関節に炎症が起きることがあります。そこで普段から関節に負担をかけず、痛みの出ない身体の状態を習慣にすることがなにより大切になります。

そのために必要な身体のお手入れが、適度な運動、ストレッチなどです。とくに筋力低下は足腰からはじまる傾向があります。皆さんが来院されたときは、ぜひ足腰をチェックさせてください!

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