痛くてあがらない肩
痛くて上がらない肩を改善
四十肩・五十肩「肩関節周囲炎」
四十肩・五十肩の方がここ最近、異常に増えています。医学的に「肩関節周囲炎(かたかんせつしゅういえん)」と呼ばれるこの症状、気がつくと肩に痛みを感じて、整形外科を受診したら「四十肩(五十肩)ですね」と診断され、湿布をもらい、あとはひたすら治るのを待つ…。というのがお決まりのパターンのようです。
よくみられる特徴のひとつとして「肩が痛くて寝られない」という夜間発作のある方が多くいらっしゃいます。夜に眠れないと疲れもとれないので、本当に辛いですよね。今回はそんな、五十肩になって夜間に痛くて眠れなくなってしまった52歳男性の症例をご紹介します。
「夜間に肩が痛くて眠れない」52歳男性の場合
まずは問診カウンセリングでお話しをうかがいました。2ヶ月ほど前から背中に違和感を感じていたとのこと。肩が痛み出してからは特に夜の疼痛が酷く、湿布と痛み止めで対処してきましたがどうにもならなくなり、当院に来院されたとのことです。
休日はソフトボールを楽しむ程度の運動をされていましたので、運動不足による肩関節の可動域制限や筋力低下は考えられないと判断しました。また、普段からストレッチを適度にされていましたので、筋肉じたいにも問題はなさそうでした。ちなみに以前から肩こりも感じてましたが、こちらはそれほど気にならなかったようです。
カウンセリングでは原因が特定できませんでしたので、実際に身体のゆがみをチェックしてみました。すると左の肩関節が利き腕の右に比べ、約2センチほど下がっているではないですか。これは肩甲骨(けんこうこつ)の位置がずれることで起こる現象です。明らかに背中の筋肉が異常に緊張している証拠です。この患者様の五十肩の原因はこの背中のゆがみにあったのでした。
この患者様は左の肩甲骨が下がっているので、右肩は挙げるのは楽でも、下げる際に負担がかかっていたはずです。ソフトボールのピッチャーで、これは辛かったことでしょう。
五十肩の施術期間中になんとぎっくり腰に!?
すべて改善するためには最低でも18回は通っていただく必要があるので、週3回の来院を提案しました。初回は背骨のゆがみを整復(せいふく)し、肩関節にかかる負担を減らしました。そして肩は筋肉の緊張を緩めるために、電気治療を施しました。
施術は順調に進み、18回目が終わるころには投球時の疼痛もほぼ感じられなくなってきました。ところがその矢先、まさかの出来事が起こりました。なんと、ぎっくり腰になってしまったのです! 急遽、肩関節の施術を中断し、腰まわりを集中的に治療していくことにしました。
6回目の施術が終わることには腰はすっかり良くなり、そしてなんと、治療を中断していた肩関節の痛みまでもが、いつのまにか消滅していたのです。「あれ? なんで?」と、あのときのことは今でも鮮明に覚えています。
つまり今回のケースをまとめるとこういうことです。肩の施術をしている途中、別の原因でぎっくり腰になってしまった。そこで肩の治療を中断して背骨の土台である骨盤のゆがみを治したところ、背骨全体が安定し、肩から背中にかけての筋肉の異常な緊張がほぐれたのです。肩の痛みは背骨を通って腰のゆがみにまで繋がっていることを再認識させられた貴重な症例でした。
肩の痛みは根本原因から治すことが大切
今回の患者様は、背骨のゆがみによって筋肉が異常に緊張し、肩甲骨の関節運動に極度のストレスがかかってしまっていたことが、肩関節周囲炎を引き起こしていた原因です。
肩の関節や筋肉をストレッチでいくら動かしても、またじっとしていても、痛みがひかず、改善がみられなかった理由は、根本の原因が背中のゆがみにあったからなのです。