2024年11月の休診日:11月3日(日)・10日(日)・17日(日)・24日(日)が定期休診日となります。

症例ブログ《からだ研究所》

肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)

肩が上がらない!「肩関節周囲炎」

よく「四十肩」や「五十肩」と呼ばれるあの病態

肩が動かない。夜寝ていても、痛くて起きてしまう。よく「四十肩」や「五十肩」と呼ばれているこれらの症状は、正式には「肩関節周囲炎(かたかんせつしゅういえん)」といいます。

主な原因としては、同じ姿勢や動きを繰り返していくうちに肩の腱と関節包(かんせつほう)が擦れて炎症が起こり、痛み出すことがあげられます。ちなみに腱とは筋肉の骨にくっついている部分、関節包とは関節の動きを円滑にする滑車のような役割をしている部分のことです。

肩関節周囲炎は放っておいても1〜2年で痛みはおさまります。しかし当院の患者様からは「1年も我慢できる痛みじゃない!」という声をよく聞きます。

痛くて眠れない、肩が上がらない 〜48歳女性の場合

今回ご紹介する症例は、夜寝ていても痛みで起きてしまうと訴える、48歳女性の患者様です。問診カウンセリングで詳しくお話を聞くと、とにかく夜寝ていても痛みで起きてしまう。普段はテニスをしていて、少し前からたまに痛みは感じていたものの、翌日にはおさまっていたので放っておいた。今回、痛みがなかなか引かず不安になり、来院したとのことでした。

テニス中のどんな動作で痛むのかを尋ねると、ラケットにボールが当たって打ち返すときに一番強い痛みがはしる。また右肩が上がりにくく、サーブがなかなかうまくいかない、とも訴えていました。

両肩の筋肉を触って比べてみると、明らかに左右の硬さが違います。特に右の肩甲骨(けんこうこつ)あたりの筋肉がガチガチに固まっていました。バンザイをしてもらうと、左は普通に上がるのに、右は90度以上が痛くてあげられません。

極めつけは肩の高さを確認するために、鏡の前に立ってもらったときです。なんと右肩の高さが左より13cmほども上がっているではないですか。これにはさすがに目を疑いました。患者様も今まで気づいていなかったようで、鏡の前で唖然としていたのが印象的でした。

「また思う存分テニスができるようになった!」

この患者様が肩関節周囲炎になってしまった経緯をまとめるとこういうことです。もともと身体がゆがんで右肩に負担がかかりやすかったところに、テニスでボールを打つ衝撃が積み重なり、肩の筋肉に炎症が起きてしまった。それでもテニスを続けたあげく、正常な可動範囲を失い、関節にまで炎症が起こり、夜寝ていても痛みを感じるほどまで悪化してしまった、というわけです。

この患者様の場合、肩の炎症に手をつける前に、まずは根本原因であるゆがみを矯正することにしました。さっそく首の骨と背中の骨の位置を「ボキッ!」と正しい位置に戻すと、あまりの鈍い音に患者様は驚いていました。しかし施術後すぐに鏡の前に立ってもらい、両肩の高さがほぼ平行にそろっているのをみると「こんなにすぐ効果が…!」と喜んでいました。

骨の位置を整えたら、次は筋肉です。週4回通っていただきながら、肩へのマッサージと電圧治療で筋肉の柔軟性を最大限まで高めます。また、2回に1回は骨格の矯正もおこないます。こうして6回の施術が終わる頃には、夜の痛みはもうあまり感じなくなったといっていただきました。

12回目の施術が終わる頃にはもう日常生活での痛みはほとんどなくなりましたが、やはりテニスをしているときは肩まわりの筋肉が張ってしまうとのこと。そこでさらに1週間に1回は骨格を矯正していくようにして、合計6週間で施術が完了しました。最後は「これでまた思う存分テニスができます!」とにこやかにいって帰っていかれました。

肩の痛みは放っておかずにすぐ診察を

肩関節周囲炎は、筋肉に炎症が起きているのか、関節に炎症が起きているのかで、処置の仕方が変わってきます。安静にしたらいいのか? 逆に動かしたらいいのか? 暖めたほうがいいのか? 冷やしたほうがいいのか? この見極めには原因が何かをしっかり把握する必要があります。

皆さんも肩に違和感を感じたり、痛みを感じたり、左右で動きの幅が違うことに気がつかれたら、放っておかずにぜひ一度ご来院ください。

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