2024年11月の休診日:11月3日(日)・10日(日)・17日(日)・24日(日)が定期休診日となります。

症例ブログ《からだ研究所》

顎関節症

顎が痛い、口が開かない…それは「顎関節症」かも!?

「顎関節症」とは?

「顎関節症(がくかんせつしょう)」とは、何らかの要因で顎の関節周辺が痛む、または口が開かないなどの機能低下が起きる病気の総称です。何もしないで自然に治る場合もありますが、悪化すると大変です。口が開かなくなったり、顎に痛みや痺れを感じたり、痛くて噛みにくいなど、日常生活にまで支障をきたします。

放置したために慢性化してしまうこともあります。肩こりや頭痛・食欲不振など、ほかの症状を併発する場合も少なくありません。

「口を開けたら“カクッ”ときて顎に痛みが…」40代女性の場合

今回は食事中に口を開けたら“カクッ”となり、顎が痛みはじめたという40代女性のお話しです。今回の症状が起きる前も噛みづらさは感じていたとのことですが、以前通っていた歯科医院で「歯の噛み合わせは悪くない」といわれていたので、おかしいなと思っていたようです。

こういう場合はまず首が傾いていたり、回旋していないかをチェックします。「顎の症状なのになぜ?」と思われがちですが、首と顎の動きは連動しているため、首がゆがむと顎もゆがんでしまうのです。例えば首が右に倒れていたとします。すると右の顎が上にあがり、自然と食事のときに右で噛む癖がついていきます。これを補正しないまま続けていくと、首は右にゆがんだまま固定され、顎も右が上がったまま固定されてゆくことになるわけです。

ちなみに首のチェックは触診(手で触ること)や「モーションパルペーション」という方法を用います。これは経験を積まないとできませんが、ご家庭でも簡単にできるチェック方法がありますので、気になる方は次の手順に従ってチェックしてみてください。

自分でできる首の動きのテスト「1.左右に倒してみて、同じくらい倒れるか」「2.左右を向いてみて、同じくらいむけるか」「3.首を前に倒してみて、顎が胸につくか」「4.首を後ろに倒しみて、眼球を動かさずに天井が見えるか」これらのテストをおこない、肩や首に痛みがある方は要注意です!

2週間6回の施術で顎の痛みは完全に消滅

この患者様の場合は顎の関節が少しズレているだけでしたので、まず顎の関節を正しい位置に整復(せいふく)することからはじめました。併せて首の整復もおこない、頸を緩めることで筋肉にかかるストレスを軽減させ、炎症を抑えます。

こうしてひとまず骨格を正しい位置に合わせましたが、最初のうちは元に戻りやすいので、2日以内に再度施術を行います。計3回の整復の後、さらに3度通っていただき、筋肉を緩め関節の動きをスムーズにするために、マッサージを行いました。こうして2週間が経過し、3回の整復と3回のマッサージ、計6回の施術でとうとう顎の痛みは完全になくなりました。

顎の痛みはとれたものの…

ところが痛みはとれたものの、口を開くときの“カクッ”という音はまだ続いています。この顎が“カクッ”となる症状を「クリック音」といいます。また、顎関節の凹凸がこすれるときに起こる「ザラッ」や「ミシッ」といった音を「クレピタス音」といいます。

これは顎関節のクッション材として働いている関節円板(繊維性の軟骨)に顎の骨がひっかかってしまい、口を開いたり閉じたりするたびに「カクッ」とか「ガクッ」などの音が鳴るようになってしまっているのです。顎の開閉時にクリック音やクレピタス音がなる場合は、顎関節症になっているか、なりかけていると思っていいでしょう。

この患者様の場合は、次の6回の施術でクリック音がほとんど気にならない程度まで治りました。

顎関節症は放置せずにすぐ診察を!

顎の痛みやクリック音は、どこで診てもらったらいいのかわからないといった悩みをよく聞きます。また、クリック音やクレピタス音は、音が大きい割には痛みが少ないことも多いので、つい放置してしまいがちになります。

当院ではいろいろな患者様を診させていただいておりますが、慢性的な顎関節症はだいたい下顎頭(かがくとう)のすべりが悪いのを放置してしまったことが原因です。顎が開けずらい、クリック音がするなどの症状がある方は、ぜひ一度診せにいらしてください。