2024年10月の休診日:10月6日(日)・13日(日)・20日(日)・27日(日)が定期休診日となります。

症例ブログ《からだ研究所》

手首の激痛、TFCC損傷 

手首に棘が刺さったような激痛!「TFCC損傷」

あまり知られていない「TFCC損傷」のこと

「TFCC損傷」と言われても、「何のこと?」「どこがどうなる病気?」と首をかしげる方が多いと思います。「TFCC」とは、三角線維軟骨複合体(さんかくせんいなんこつふくごうたい)のことで、簡単にいうと手首の小指側にある軟骨組織の名称です。

症状は手首の痛みなのですが、これがまるで棘が刺さったような、虫歯に水がしみたような、「ズッキーン!!」という感覚の痛みが特徴です。とくに「ドアノブを回す」「雑巾をしぼる」など、掌をかえしたりする動作や、重たい食器や急須などをつかうときに痛みが激しくなります。しかもけっこうな激痛です。

動かさないと痛くありませんが、動かすとまた痛みが強くなります。しかも、重いものが持てません。「腱鞘炎(けんしょうえん)」みたいだけど、よく聞く腱鞘炎の症状とはどこか違います。

原因としては、手首の捻挫や骨折などの外傷によって併発する場合と、退行性変性(たいこうせいへんせい)、いわゆる老化現象によって発生する場合、それから単純に手首の使いすぎによってなる場合とがあります。

放っておくと悪化して、持続的に痛みが続く頻度が高くなります。とくに外傷によって併発した場合は、その外傷を整復(せいふく)しないで放置してしまったり、整復不足だったりすると、悪化することがよくあります。

TFCC損傷はレントゲンでは異常がわかりません。確実に診断するには、MRIや関節鏡が必要になります。

サンドバックを打ったら手首に激痛が… 40歳男性Nさんの場合

40歳男性Nさんの症例です。予診票には「サンドバックを打った際に左手を強く衝ついた」と書いてあったので、最初はてっきりボクサーだと思っていました。しかし目の前に現れたNさんは、ボクサーというイメージにはほど遠い、優しそうなお父さんでした。

どうしても気になったので「ボクシングされているんですか?」と聞いてみると、「いや〜、子供たちとお台場に行ったんですよ。で、スポーツ系の体感型ゲームがありまして、子供の手前、つい無理しちゃって…」とNさん。私「あ〜、がんばってしまってんですね」、Nさん「いや〜、それほどでも」、私「いや、褒めてないですよ」…

カウンセリング、視診、触診をしてみたところ、骨折はしていないようでした。しかし手首の捻挫と併発して、小指側に強い腫れがあります。痛みは手首全体にあるとのこと。

そこで週に3回の通院加療で、電圧治療を施していくことになりました。

TFCCにも損傷

初診では、手首の関節を整復(せいふく)し、関節にかかる圧迫を減らしました。また、安静にするための包帯固定と、日常生活での動作を考え、テーピングも併用しました。

さすが電圧治療の効果はすばらしく、施術3回目(初診後5日目)には手首の腫れが減り、動かすときの痛みも軽くなりました。しかし小指側の痛みはまだ芳しくないとのこと。

やはりTFCCも傷ついていたようで、引っかかるような痛みがあるそうです。そこでふたたび整復をして、包帯とテーピングで固定しました。

初診から10日後には包帯がとれ、固定はテーピングかサポーターのみで生活できるようになりました。5週目には重いものを持つとき以外は、生活をしていてほとんど手首の痛みが気にならなくなりました。

手首の痛みが強い場合は専門の治療が必要なことも

TFCC損傷は外傷によるものが85%を占めます。しかしなかには生まれつき前腕の小指側にある尺骨(しゃっこつ)という骨が伸びすぎていて、手首を圧迫しているケースもあります。また、骨折により骨が伸びすぎて起きる場合もあります。

症状によっては尺骨短縮手術(しゃっこつたんしゅくしゅじゅつ)などの手術が必要になり、安静固定にギブスをすることもあります。

あまりにも痛みが強い場合は専門病院をご紹介させていただきます。

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