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症例ブログ《からだ研究所》

坐骨神経痛?尾骨の痛み

坐骨神経痛? 尾骨の痛み

出産後にお尻が痛いママさんが急増中

「お尻の骨が痛い」という声を、出産後の奥様からよく聞かれるようになりました。皆さん「お尻のお肉が少ないからでしょうか?」とか「出産でお尻の肉の弾力や張りがなくなっているのでしょうか?」とか、心配されているようです。

硬い床に座って「骨が当たる」と感じるのは、坐骨(ざこつ)か尾骨(びこつ)のどちらかになります。

坐骨はその名の通り、座るときに当たる骨なので、お尻の筋肉の状態や座り方に関係します。もし左右のどちらかが強く痛んだり、最近になって急に痛みはじめた場合は、「坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)」の可能性がありますので、一度検査されることをお勧めします。

また、尾骨とはその名の通り、しっぽが退化したものです。尾骨は内側に向かって弓形にカーブしているので、ぶつけたり、尻もちをつかない限り、痛みが出ることは滅多にありません。しかし生まれながらにカーブが浅い人や、産後で骨盤が開いた人などは、尾骨の先端が肛門の上あたりで出っ張るような形になり、骨に負担がかかります。また、座る姿勢や腰椎(ようつい)のカーブによる骨盤のゆがみによっても同様の負担がかかる場合があります。

チェックするポイントは骨盤の前後の傾きです。特にお尻がペタンと平らな方、過去に整形外科などで腰椎がストレートと言われた方は要注意です。これらの方は常に腰椎に負担がかかりやすく、腰をささえる筋肉がガチガチになり、神経を圧迫してしまう可能性が高くなります。

出産後にお尻が痛くなった 30代女性の場合

これは最近お尻の骨に痛みを感じるようになった、という30代女性の症例です。痛むのはフローリングの床や自転車のサドルに座ったとき、体育座りをしたときなどです。特に打ったりぶつけたりした覚えはなく、原因は不明とのことでした。ちなみに出産後に腰痛に悩まされたことはありましたが、これは他院に通って改善したとのこと。

腰から下の痛みや違和感は、まず坐骨神経痛を疑います。坐骨神経はとても長い神経で、広範囲にいろいろな症状を出す可能性があるので、とても重要なのです。坐骨神経のどの部分に障害が起きているかで症状や範囲も違ってきますが、多くの場合は腰部やお尻などの筋肉が緊張し、お尻や下肢に痛みやしびれなど、神経痛以外の不快な症状を併発します。悪化すると肛門周囲へしびれが生じたり、「排尿障害(はいにょうしょうがい)」になることもあります。

このママさんの場合は、触診・視診してみたところ、見事な腰椎のストレートでしたが、坐骨神経痛ではないようでした。また、腰の筋肉が異常に硬く、いつギックリ腰になってもおかしくない状態でしたので、「椎間板(ついかんばん)ヘルニア」を疑いましたが、これも違うようでした。

結局、出産によって腰椎のカーブが少なくなり、骨盤がゆがんでいただけでしたので、安心しました。これならそれほど時間もかからず、簡単に治せます。

お尻の痛みの改善から、スタイルアップに

この患者様は育児が大変で通院が困難なため、『腰痛改善コース』を週1回のペースで計6回受けることをお勧めしました。

初日は腰の筋肉に負担をかけている腰椎のカーブを戻すため、骨盤矯正をおこないました。この矯正は初めて受けると、大体の方は痛くはないけどビックリされます。この患者様も見事にビックリして、夕食のメニューを忘れるほどでしたが、この1回の矯正で座るときの痛みが30%ほど軽くなったと喜んでいました。

仕上げに、赤ちゃんを抱っこしてミルクをあげ、育児にゆっくり休む暇もなく、緊張しまくっている“黄金の腰の筋肉”に、少し強めの指圧を施し、初日の施術は終了となりました。本人はホームページをよく読んで来院されたので、期待通りの効果がみられてとても満足げに帰っていかれました。その笑顔をみて私もニッコリ…、危うく好きになるところでした(笑)

1月の3週目に施術をスタートして、2月現在、施術回数はまだ3回ですが、痛むことなく自転車にもスイスイ乗れているとのこと。ガチガチだった筋肉も緩んで、今ではクッションがなくても、座る位置をずらすことなく、ずっと座っていられるとのことでした。

腰椎のカーブを作ると、お尻が持ち上がり、筋肉にハリが戻ります。今では症状の改善ではなく、スタイルアップが目標になっているようです。いつまでも美しいお母さんでいてほしいですね!

出産後、痛みのない育児を楽しむために

この患者様のように腰椎のカーブに問題があったり、骨盤がゆがんでいたりすると、筋肉が異常な緊張を起こしやすくなり、「馬尾神経(ばびしんけい)」を圧迫して痛みを引き起こします。馬尾神経とは尾骨に隠れている馬のしっぽのような腰の神経です。これがあるので、尻もちはとても痛いのです。

腰痛には腹筋がよいのですが、お尻に痛みを感じる方は、尻っぺたの筋肉を鍛えてみてください。また、お尻の骨が痛くて現在通院中の方は、施術終了まで当面はクッションや座布団をしいて、お尻をいたわってあげてくださいね。

普段から姿勢を少し意識して、痛みのない育児を楽しんでください。